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2012年11月29日木曜日

SCI Prophet VS

SUB TITLE IMAGE Evolver、microwave XTk、WAVESTATION を持っているのに、なぜ、Prophet VS?
そりゃ、収集オタだから・・・じゃなくて、良い物はいつまでも良いからです!

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メーカー :
 Dave Smith Instruments
2007/4/25 修正・加筆
ベクターシンセサイザーについて整理すると、現在では時間軸上のサウンド変化をプログラムできるシンセサイザーも増えていますが、鍵盤を叩いて出てくるサウンドを、オシレター(波形)レベルでリアルタイムに変化させることをベクトルシンセスと呼んでいます。
  • Waldorf XTk
    波形素材(1 サンプル単位ではありません)が並べられた WAVE Table を 2 つのオシレーターにて再生させる方式です。
    フレーズ的な Wave Table を使用することも可能で、並べられた波形の、読み出し位置・ループポイントなども自由に設定でき、OSC1 と OSC2 を SYNC させたり FM させたりできます。VCF はアナログモデリング仕様で発振もする Waldorf 系のエグいフィルターを搭載しています。
  • KORG WAVESTATION
    XTk と同じく、波形素材を並べられた WAVE Table x 4 つを 1 つのオシレーターで使います。XTk とかなり似ていますが、こちらは 1 オシレーター内でミックスを行うのでオシレターのみの変調はできません。時間軸上でそのミックスを変化させることを前提としたジョイスティック搭載です。
    フィルターはシンセサイザー部には搭載されてはいなくてエフェクト部に搭載されており、レゾナンス発振するほど過激なものではなく EQ 的なフィルターです。
  • YAMAHA SY22(35)
    FMx2、PCMx2 による種類の音源形式を搭載しています。YAMAHA 2-OP FM と、RCM 音源(12bitPCM、RCM2 より 16bitPCM)を時間軸上で音量のバランスをグリグリできます。フィルター未搭載ながらも、当時の 12bit PCM は、今聞くとそのザラザラ・ギラギラ感が、現代の音源による楽曲の中に入れても埋もれることなく聞こえて再考の価値有りです。SY35 は PCM 容量が倍になったモデル。
  • DSI Evolver
    2 アナログ、2 デジタルの計 4 オシレターを同時に使うことができるハイブリットシンセ。フィルター部はアナログで、最新の DA によりキレも良い音を出します。
    デジタル部に Prophet VS から抽出されたデジタル波形を搭載していて、通常は 4 オシレター的な使い方をするのですが、各パッチにパラメーターとして保存できるステップシーケンサーに波形の選択を割り当てることが可能で、それによりベクトルシンセスを可能にします。

XTk の 2 オシレターは Wave Table を使ってサウンドというより効果音的な変化を生み出します。Evolver は上には記載していますが、ベクターシンセスはメイン機能では無いので、XTk とEvolverは以下文のベクターシンセサイザーの語句の中には含まれません。

そしてなんと言っても、ジョイスティックでしょう。

各オシレータのバランスをエンベロープに割り当てたり、XY軸をベロシティやLFOに連動させることが可能です。とにかくヤバい!!

Prophet VS では、4 オシレータ x 8 = 32 オシレータ (1 ボイスあたり 4 オシレータ = 同時発音数: 8)の構成で、割り当てた 4 つのウェーブフォームの音量バランスをエンベロープのポイントに割り当て、そのミックス具合を時間軸で変化させることがジョイスティックの一番分かりやすい機能ですが、それだけに止まらず、X軸にLFO、Y軸にキーの位置を割り当てたりすることで、鍵盤を抑える位置によってLFOのかかり具合を変化させたりと考えるだけで“とてもややこしいことだけは理解できる”ような効果をジョイスティックに割り当てることも可能です。

ベクターシンセス機能は、時間軸上で“何でも”自由(各メーカー・機種により機能はい様々です)にグリグリすることです。もちろん、そのジョイスティクの動きを記録してくれることも大事です。

ジョイスティックは、Prophet VS・SY22(35)・WAVESTATION と、3 種類のシンセサイザーの左上部に搭載されており、一目でベクターシンセサイザーと分かります。アナログ→デジアナ→デジタルとシンセサイザーの構成が変わり、大容量 PCM シンセサイザーへと各メーカーがシフトするまでの、“新しい音源形式への挑戦”が最も盛んだった時期の、数少ない“その挑戦”が実現できたシンセサイザーだったと言えます。

SCI Prophet VS 前書きが長いのは、Prophet VS について書くことが無いから・・・ではなくて、音作りが難解とか使いにくいとか言われてますが、個性が消えてしまった PCM シンセばかりだった 2000 年初頭から、各社独自の色づけをしたアナログモデリングシンセサイザーが台頭してきた現在では、当時はキワモノ扱いだったベクターシンセも、それが個性として再評価・・・されてません(T_T)

さてさて、発売が 1986-87 と短いこともあり、音作りもヘンテコな上に価格も高い!(日本当事価格 98 万円)となればあまり売れていなかったようです。
Prophet-VSだけがその理由ではありませんがDX7~M1の爆発的セールスという時代背景もあり、この時期に有名な海外シンセサイザーメーカーはSCI社をはじめ倒産、解散、吸収など減退していきます。

現代的に見ると、収録された波形の数は 96 + 32(ユーザー)と、128 個もオシレターの波形が選択できるというのは、まあ、不満ではありませんが、最新のピアノ波形だけで 16MB、鍵盤ごとマルチサンプルとかいう波形ではなく、それだけ再生しても、“ピッ”とか“ガッ”と一瞬しか聞こえないサンプル単位での波形が 128 です。当事は、そういうデジタル波形を 8~16 搭載した KORG DW シリーズなどもありました。

ホント、ここまでの機能でしたら、それらの波形は Evolver に引き継がれていますので、我が家に迎い入れることもありませんでしたが、 Sequential Circuits Prophet シリーズらしいキレるアナログフィルターをデータースライダーに割り当てて演奏すると、まず脳みそがヤられます・・・

さすが、高級機種です。フィルターは良いもの積んでいます。あと、この 80 年代のシンセにしてはものずごくノイズが少ないです。無音時の静かさは最新機種と変わらないくらいノイズが聞こえません。

SCI Prophet VS 鍵盤は裏から覗くと鉛が見えるベロシティ付ウエイテッド鍵盤です。

Prophet 5 などの針接点式ではなく、ゴム接点式らしいですが、鉛が重いのか、なかなかタッチは優秀です。YAMAHA SY99 を軽くした感じです。鍵盤奥でもちゃんと深さがあって、妙にバネっぽくないというヤツです。

思い起こせば、当事は 100万円 を超えて当たり前だったシンセサイザーが、ワンチップ化などのコストダウンで、20 万円前後のシンセサイザーが勢いに乗って出てきた時期でもあったのですが、Prophet VS というのは、そういう普及価格帯のシンセサイザー大流行の流れを無視した Sequential Circuits の渾身の最新作だったわけですからハード自体は丁寧に作られていると思います。

経年劣化でどうしても駄目になるのが当時のタクトスイッチですが、納品時にほとんどのタクトスイッチと、データスライダを交換してもらったこともあり、機械的な操作感は上々です。

ご多分に漏れず、古い機種ですので、ディレイ、リバーブなどの、“そのくらいは付いていて欲しい”エフェクターが付いていませんので、YAMAHA 01V にてそのトラックにはリバーブは常時 ON です。そうすると今風な音にちゃんとなります。意外とプリセットが現代風の良い音が並んでいて、フィルター、ディケイ・リリースをいじるくらいで使える音が多いです。一応、各音色に設定保存できるステレオ・コーラスが付いているのですが、今は・・・使えないエフェクトです。

Prophet VS を設置した状態で楽曲を制作していますが、途中にて残っているトラックは、フィルターを使ったシーケンスサウンドと、ストリングス・ブラス系のパッドサウンドとなりました。

今の音源に加えても全然沈み込まないというか、オケに埋もれない特徴的な短形波サウンド、オケにしっくり馴染むパッドと、本当にデジタルオシレーターか?と思うくらい表現力豊かな音が出てくるのは、ベクトルシンセスゆえにと言った感じです。

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