■ Digital Monotone の
   トップページはコチラです。
   →Digital Monotone

2012年12月15日土曜日

Stillwell Audio 1973

関連リンク
メーカー :
 Stillwell Audio
製品ページ :
 1973
悩んでしまうのが、“音作り”のためのEQ選びで、もちろんミックス全体の音質的なバランス感覚の才能と自信があればポイントをどこにでも多数におけるPro-QのようなEQが良いのですが、個別トラックで気持ちよく聴けても、合わせてみると“アレっ?”みたいなまだまだな私は、いわゆる名機のその洗練された固定ポイント式に頼っています。

OSやPro Toolsのアップデートやらその後のサポートの事を考えるとなかなかシェアウェアや知られていないメーカーの製品はあまり手を出さない性格なのですが、Stillwell Audio 1973はとても気に入ってしまい、今まで理由なく使っていたEQは、とにかくこの1973からスタートするようになりました。

Stillwell Audio 1973

Stillwell Audio 1973のイメージモデルはNEVE 1073なわけですが、この1073や1081の決められた周波数ポイントってソコを調節していけばミックスが大体まとまっちゃうという素敵なポイントです。ホント、そこを決めた設計者の人には尊敬するばかりです。

Stillwell Audio 1973の本家サイト(製品ページ:http://www.stillwellaudio.com/?page_id=17)を見てみると、NEVE 1073をエミュレーションしたものではなく、NEVE1073の動きと特徴を捉えているみたいな書き方で、どうやら回路図やチップのエミュレーターというものではなく“らしきもの”というものです。

NEVE 1073 もちろん回路エミュレーション方式も素晴らしいと思うし、いくつかのこういった1073 EQプラグインを、有名メーカーやフリーウェアまでいろいろと試しましたが、この1973は“っぽく”仕上げてくれるし、何よりも効き具合い良いのと音が良いです。

一つの特徴はオーバークロックモードを備えている事で、これが特に高域の上げ下げに関して素敵にあの嫌な折り返しノイズを緩和してくれます。ということで常にON。

そしてクラシックEQのシミュレーションモデルには実機には無いので、当然ながら備えてないQの切り替えも“1073をオマージュした”という考えから、“それそのものである必要はない”ということでしょうか、Narrow(小)、Wide(広い)、Adaptive(周波数バンドによる変化)の3つを備えていて、Adaptiveはいい感じに3つのバンドでのQ幅が設定されています。

ポイントは HI PASS(いわゆるローカット)、LOW SHELF、MID BELL、HI SHELFの4つで、見た目は違いますがNEVE1073とほぼ同じです。

EQの効き方は本当にすばらしくここ数年で使ってみたEQプラグインの中でも秀逸だと思います。

ただし!大事な注意点なのですが、使っていると本当に“ああ、この効き方はNEVEだねぇ”とニヤリとしてしまう素晴らしい音質と引き換えに、位相がかなり狂います(笑)
それはこういうアナログ・パラメトリックEQの宿命みたいなものですが、この1973もどれだけ1073ぽくEQを利かせられるかを主眼にしているらしく、それを犠牲に位相はおかしくなってしまうので、モノラルトラック専用みたいなところがあります。
もちろん低域と高域のカットくらいでは気になりませんが、積極的な音作りをするとステレオトラックで扱うとステレオイメージがとんでもないことになりがちです。

ちなみに価格は、Stillwell Audioは、海外のシェアソフト系サイトに多く掲載されていることから、まだこれからの会社ということみたいで、この1973も39ドルで他のプラグインも似たようなお試しで使うにしても買いやすい価格となっています。

そういう2chトラックでも無難に動作してくれるモノを使うのか、あくまでも“音を作るために”作られたモノを使うのかは好みだとは思いますが、Stillwell Audioでは“音ありき”でソフトを作っている楽しいメーカーなのでこれからもその道を突き進んでいってもらいたいものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿